ちょっと隠れたロックアーティストを紹介しているこの番組では、
この夏、フジ・ロック出演を記念して、“パンク界のゴッドファーザー”こと、
イギー・ポップ(Iggy Pop)を特集しています。
今回は、1990年に発表したアルバム『ブリック・バイ・ブリック(Brick By
Brick)』をピックップ!
86年に音楽界へ2度目の復帰を果たし、その後88年に発表したアルバム
『インスティンクト』と、それをひっさげてのツアーの成功。
それに89年に公開された映画『ブラック・レイン』で、彼の楽曲
「リヴィング・オン・ジ・エッヂ・オブ・ザ・ナイト」が使用されてヒットという
出来事で大きな自信をつかんだイギー。
絶好調なモチベーションを持続したまま90年代に突入した彼は、
新しいアルバムで、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだったガンズ&ローゼズから
スラッシュとダフの二人。そして、ワディ・ワクテルやデヴィッド・リンドレー
など、ロック系以外のミュージシャンをゲストに迎えて、さらに、アルバム全曲で
イギー本人がエレキもしくはアコースティック・ギターを弾き、
バラエティ豊かな作品制作を試みました。
その結果、ハードなR&Rはもちろん、トラッド風なアコースティック・ナンバーや
女性ヴォーカルとのデュエットによるスイートなラブ・ソングなど、大変奥行き
のあるアルバムとなって、コワモテのパンク、ロックファン以外の人にも
聴きやすい一枚となっています。
いくつもの新しい試みに挑戦したこのアルバムは、彼の作品にかける熱意が
音楽ファンにも伝わったのか、見事セールスにも結びつきヒット!
こうして最高の形で90年代のスタートを切ったイギー。
このあと、音楽シーンはニルヴァーナをはじめとするグランジ・ロックの嵐が
巻き起こり、これが彼にとってさらに追い風となります。
次回はそんな時代に生まれたアルバムを紹介します。
〈オンエア・ソングリスト〉
1. Home
2. Candy
3. Starry Night
4. Livin' On The Edge Of The Night