前回は「楽器の開発・改良」までを取り上げました。
今回は、その後からお亡くなりになるまでを紹介します。
宮城道雄氏の邦楽界に与えた影響はその演奏能力、楽器の開発・改良以外に「邦楽に西洋音楽の要素を導入した」という点ではないでしょうか?宮城道雄氏は邦楽の活性化の為、西洋音楽のの要素を積極的に取り入れていきました。しかも、ただ取り入れるだけではなくしっかりと邦楽(箏)での表現に昇華されていた、と言う点でも際だった才能と邦楽への愛情を感じます。今でこそ国内外で活躍されている演奏家の方が西洋音楽やJ-POPを和楽器で演奏されていますが、その先駆けとなったのが宮城道雄氏だったと言えるのではないでしょうか?この活動は「新日本音楽運動」と言われ邦楽発展に大きな意味を持ちました。
昭和7年にはフランスのヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと「春の海」を共演し、日本・アメリカ・フランスでレコードが発売され、国際的にもその名が知れ渡りました。
こうみると宮城道雄氏は新しい運動だけを積極的にしたように思われがちですが、そうではなく古典の箏曲も大切にし、その見事な演奏で古典曲の感動を現代に甦らせました。古典を愛したからこそ革新的な行動も実を結んだのではないでしょうか。
宮城道雄氏は教育者としても素晴らしい方だったようで、門人の指導に当たるのではなく、昭和5年からは東京音楽学校で教授も務めます。また、五線譜等を積極的に活用したり、初心者用の箏・教則本を作成したり、ラジオによる箏曲講習(今で言う「インターネット教育」でしょうか)を行ったりと邦楽普及に努めはります。
昭和25年には第一回放送文化賞を受賞してはります。これは大正14年のラジオ試験放送初日に出演したり、毎年の正月放送、海外との交歓放送、国際放送、ラジオによる箏曲講習(前述)等が認められたからでした。(僕もいつかは…)
昭和28年にウラン巣のビアリッツとスペインのパンプロナで開催された国際民族音楽舞踊祭に日本代表として参加。見事に第1位に輝きました。
昭和31年6月25日、大阪へ向かう途中に急行「銀河」から転落し、同日午前7時15分、死去されました。享年62歳でした。
もし、宮城道雄氏がご存命であれば、その後の邦楽界にどのような影響があったかはわかりませんが、それは今邦楽に携わっている人達がどうしていくか?という宮城道雄氏からの宿題のような気がします。
宮城道雄記念館の御紹介
開館日時
水・木・金・土曜日
午前10時〜午後4時30分(入館は4時まで)
休 館 日
日曜・祝日、春季休館(3月25日〜3月27日)
夏季休館(8月1日〜8月10日)
年末年始休館(12月25日〜1月5日)
入 館 料
一般400円
学生300円
小学生200円
交通機関
都営大江戸線牛込神楽坂より徒歩3分
JR・東京メトロ有楽町線飯田橋より徒歩10分
東京メトロ東西線神楽坂より徒歩10分
所 在 地
〒162-0835 東京都新宿区中町35番地
TEL:03−3269−0208
FAX:03−3260−0720
箏演奏者・高市雅風さんからのお知らせ
平成17(2005)年3月12日(土)13:00〜15:30
神明宮(東京都杉並区阿佐谷北1−25−5)神楽殿
新潟県中越地震チャリティ
「小千谷応援ライブ」〜杉並の音楽家とその仲間達による〜
入場無料
当日の募金にご協力下さい。
箏・尺八の演奏に、舞踊、民謡、手作り楽器によるスタンダードナンバー、
日中韓三国のコトの競演と、チャリティならではのプログラムが揃いました。
いずれも見応え、聴き応え十分です!
平成16年10月23日午後5時56分、中越地方を襲った地震の記憶を
後方にあって風化させず、厳しい冬を過ごす被災地の方に春の先触れとなる
支援となることを目指しています。
小千谷市と杉並区が「災害時相互援助に関する協定」を平成16年5月に
締結していることでもあり、杉並区に縁のある邦楽家が中心となって「小千谷
応援ライブ」を企画しました。皆様からの募金は小千谷市でのボランティア
活動の為の資金に加えて頂く予定です。
出演:(五十音順)
・「Characters」“In a Silent Way(塩高和之 作曲)”
(カーティス・パターソン:十七弦、塩高和之:琵琶、吉田一夫:フルート)
・「琴笛太鼓」“スタンダードナンバー”
(k_fujita:手作り三味線、junchang:水道管尺八)
・「三国夢箏」“三国(日中韓)のコトの競演”
毛塚珠子(十七弦)、佐藤歌穂里(箏)、リゥ・ティン(古筝)、
キム・ジソン(二十五弦カヤグム)
・舞踊“越後獅子”
花柳琢次郎(舞踊)、杵屋五辰郎・杵屋五助(長唄)
・民謡“新潟民謡より〜佐渡おけさなど〜”
藤みち子(唄)、月岡祐紀子(三味線)
・「むつのを」“宮崎駿アニメメドレー他”
(尺八・箏・十七弦)
主催:音楽プロジェクトここふた
後援:杉並区 杉並区社会福祉協議会 杉並区文化・交流協会
協力:杉並NPO・ボランティア活動推進センター
三宅良
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