ロック史に名を残すビッグアーティストの名曲とちょっとマニアックな曲を紹介する「ヒットtheビート」。
今週は、John Lennonのソロ3作目「Sometime In New York City」を特集しました。
ビートルズ解散後「ジョンの魂」「Imagine」の2枚の内省的なアルバムで、ビートルズを含むこれまでの人生にオトシマエをつけたジョンは、いよいよ新しい一歩を歩き始めます。
特にヨーコの影響で政治的な活動に目覚めたふたりは、イギリスを離れてニューヨーク移住を計画しますが、平和運動を展開するジョンはアメリカ政府によって「危険人物」と見なされてしまい、永住許可がなかなか降りませんでした。時は折しもニクソン大統領の頃、世界的にキナ臭い時期です。
そんなこんなでアメリカ政府との法廷闘争に陥ったジョンの平和運動は、だんだんと「反アメリカ」的な過激なものとなり、ジェリー・ルービンやアビー・ホフマンなどの左翼活動家との繋がりも深くなります。
そうしてリリースされたのが、この2枚組の「Sometime In New York City」。
ジョン&ヨーコ名義になっていて2人の作品が混在するほか、この頃の他のアルバムにはない、様々な特徴があります。
まず起用されたメンバーはまったく無名の荒削りなバンド(他のアルバムではクラプトンやジョージなど、気心の知れた腕利きの仲間が参加)。
歌詞も、それまでの哲学的とも言える愛と平和のメッセージからはかけ離れた、政治的で直接的な過激フレーズが満載。
今回紹介した中では、「John Sinclair」は活動家ジョン・シンクリアの不当な逮捕に抗議したナンバーで、「The Luck Of The Irish」は先週のポールと同じく「血の日曜日事件」について歌ったナンバー。
さらには、アッティカ刑務所での暴動を歌ったナンバーや、黒人活動家アンジェラ・デイヴィスに対する弾圧に抗議したナンバーなどなど、そりゃあ政府から睨まれるってなもんです。
シングルリリースされた「Woman Is The Nigger Of The World」は、Niggerが引っかかって放送禁止になるというオマケ付き。
そんなわけで、ジョンの‘過激で反骨精神旺盛’な一面が堪能できるアルバムですが、そこはそれ、サウンド面でもちゃんと充実しています。
一見何気なさそうなR&Rナンバー「New York City」も、普通にブルースな「John Sinclair」も、他の誰も思いつかないようなヒネクレかたをしていて最高。
♪New York City
♪John Sinclair
♪The Luck of the Irish
次週は、Paul & Wingsのヒットアルバム「Red Rose Speedway」を特集します。お楽しみに♪
「ヒットtheビート」放送時間(ネットラジオもリアルタイムです)
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