ちょっと隠れた、カッコいいロックアーティストを紹介しているこの番組。
ここ数ヶ月、1970年代中頃〜後半、英国のパブを活動の中心にした
アーティストたち。いわゆる“パブ・ロッカー”特集でおとどけしています。
パフォーマー、プロデューサーなどマルチな才能を持つアーティスト、
デイヴ・エドモンズ(Dave Edmunds)特集の第7回。
今回は、彼の1983,4年の活動にスポットを当てました♪
彼はこれまで、チャック・ベリーをはじめとするR&Rやカントリーといった
古き良きアメリカ音楽をこれでもかとばかりに表現してきましたが、
この時期、シンセサイザーを大きく取り入れたエレ・ポップ路線に変わります!
その背景には、1970~80年代中頃活躍したポップ・ロック・バンド、
E.L.O.のリーダー、ジェフ・リンとの出会いがあったのです。
彼らはすでに、古き良きロックと当時の先端だったシンセを融合させた
サウンド展開で成功していて、そのリーダーであるジェフの才能を、
デイヴは以前から高く評価していたことから、二人のコラボが実現します。
じつはジェフも大のR&R狂で、ロイ・オービソンをはじめとするR&Rの
オリジネーターを凄く尊敬していましたから、この二人、共通する部分は
結構あるのです!
こうして'83年に生まれたコラボ第一弾アルバム『恋のインフォメーション』。
デイブはアルバム中、2曲をジェフにプロデュースを委ねます。
二人のコラボから生まれたサウンドは、これまで、土臭ささえしそうな楽曲を
数多く発表してきたデイヴからは考えられない、シンセがピコピコ・チャカチャカと
大きくフィーチャーされたポップチューン!それまでのファンは、最初きっと
「デイブに何があったんじゃああ!!!」と叫んだでしょう。
このアルバム、以前からのファンは戸惑ったでしょうが、正直な話、
ことポップ水準は確実に上がったのは間違いはなく、それが一般の音楽ファンにも
受け入れられ、デイヴとしてはまずまずのヒットとなります。
その反面、ファンからはオーバー・プロデュースと批判の声も挙がりました。
しかし、デイヴはそんな声も気にせず翌年には同じ路線で、収録曲の半分の
プロデュースをジェフに任せたアルバム『リフ・ラフ』を発表します。
同じ路線ながら、さらにジェフ、というよりE.L.O.の楽曲と分別が
つかなくなったため、前作以上に賛否が激しく別れた問題作になりました。
そんなファンの声が届いたのか、二人のコラボはこの作品で終了します。
ちなみにデイヴはこの時代の作品について「自分らしくない」と認めながらも、
「後悔はない」と言っています。
まぁ、たしかに楽曲としてはキャッチーでいいんだけど、
デイヴはこれまでの活動で“頑固なR&R職人”の道を歩んできてましたから、
いまさら“舗装されたポップ”の道を歩かれても…ねえ(笑)
次回は、原点回帰した痛快なライブ盤をピック・アップします♪
〈オンエア・ソングリスト〉
1. Slipping Away
2. Infomation
3. Something About You
4. S.O.S