ロック史に名を残すビッグアーティストの名曲とちょっとマニアックな曲を紹介する「ヒットtheビート」。
今週は、The Rolling Stones「Emotional Rescue」を特集します。
前作「Some Girls」の大ヒットに気を良くしたストーンズでしたが、その頃キースの身にはドラッグを巡る訴訟とリハビリが課せられており、大好きなツアーはままならない状況でした。
そこで、ミック・ジャガーが引っ張る形で精力的なレコーディングがスタートします。
候補曲は40曲とも75曲ともいわれ、その中から選りすぐりの25曲を録音、さらにその中から選ばれた10曲でリリースされたのが、今回紹介する「Emotional Rescue」です。
このアルバムがリリースされた1980年と言えば、ディスコブームからパンク、そしてニューウェーブと、新しいスタイルのロックが世界を席巻し始めた頃です。
それらが如実に現れているのが、オープニングの定番になってきたディスコファンクサウンドの「Dance」、ルーツレゲエというよりブリティッシュニューウェーブ系のレゲエテイストな「Send It To Me」など。
さらには、ルーツミュージックそのものにも新しい解釈で挑んでいます。
ミックが全編ファルセットで歌いきってディープさを醸し出しているダンス・ナンバー「Emotional Rescue」や、シンプルなR&Rながらギターの音色が過激なまでにクリーンで隙間だらけの、まるでネオ・ロカビリーな「She's So Cold」、さらには定番のブルースやカントリーまで収められて、まさにストーンズサウンドの見本市。
派手な仕掛けのジャケットと相まって、コアなファンには‘コマーシャリズムに走り過ぎ’と叩かれはしましたが、プロモーションツアーがなかったにもかかわらず、全英・全米ともにNo.1に輝きました。
あまりストーンズの名盤リストには名前の挙がらないアルバムですが、なかなかどうして、楽しめる1枚ですよ。
♪Dance (Pt.1)
♪Send It To Me
♪She's So Cold
♪Emotional Rescue
次週は、The Rolling Stones「Tatoo You」を特集します。お楽しみに♪