ちょっと隠れたロックアーティストを紹介しているこの番組では現在、
“パンク界のゴッドファーザー”こと、イギー・ポップ(Iggy Pop)を
特集しています。
今回は、2001年に発表されたアルバム『ブチノメセ!(Beat Em Up)』を
ピックップ!
前作『アヴェニュー B』は、これまでのアーティスト・イメージを大きく覆す、
渋い、落ち着いたヴォーカル・アルバムとなったので「イギーも50歳を越えて、
いよいよ落ち着くのか…。」と、思われましたが、それから一年半という、
彼にとっては非常に短いインターバルで届けられた今作では、“野獣復活!”
といえる、ワイルドなR&Rアルバムを完成させました。
前作から今作への作風の変化について、はっきりとした理由はわからないのですが、
以前から作りたかったヴォーカル・アルバムを完成させたことで、
精神的に一段落着いたんじゃないかということと、20世紀から21世紀に変わる
時代のアメリカ社会や音楽業界の悪しき体制について、イギーが再び
吠えずにはいられなくなったんじゃないかと言われています。
こうして、新世紀を再びR&Rモード全開で突入したイギーに応えるかのように、
当時、アメリカからストロークスやホワイト・ストライプスら、
そして、イギリスではスウェーデン出身のハイヴスなどのネオ・ガレージ・バンド
たちが、同時多発的に人気となり、音楽シーンに“R&Rリバイバル”と呼ばれる
一大旋風を巻き起こしました。
このアルバムが発売された当時は、邦題と、チープで下品なイラストの
アルバム・ジャケットを見て「やっぱりこっちの路線かいっ!」とツッコミながら
嬉しかった思い出がありますね♪
さて、収録されている曲は、ややハード・ロックよりなR&Rナンバー中心で、
歌詞のほうでは、世の中やポップ・シーンについて、イギーならではの
ストレートな言葉でブッタ斬っているので、聴き終わった後は、「爽快」の一言!
例えるなら「必殺仕事人」を見終わったあとの感覚に近いのでしょうか?
やはり、「ロック・シーンに、アンタはそのポジションで必要なんだよ!」
ということをあらためて痛感したアルバムでもあります。
〈オンエア・ソングリスト〉
1. Mask
2. Beat Em Up
3. Talking Snake
4. Ugliness