番組では現在、世界初のパンク・バンド、ラモーンズ(Ramones)を
特集しています。
第7回は、81年リリースされた6thアルバム『プレザント・ドリームス(Pleasant Dreams)』をピック・アップ!!
前作で60年代数々のヒット曲を作り出した伝説のプロデューサー、
フィル・スペクターと夢の共演を果たした彼らでしたが、それも
決定的なヒットにはならず、さらに本人たちにも満足のいく作品にも
ならなかったのです。
これを受けてマネージメント側が次に依頼したプロデューサーが、
グレアム・オールドマンという人物。
彼は70年代活躍したイギリスのポップバンド、10ccのメンバーで、
10cc加入以前の60年代から音楽制作に携わっている英ポップ界の達人なのです。
再びポップス界からのプロデューサー起用に、前作同様バンド側との対立が
懸念されましたが、今回は両者のコミュニケーションは良く、比較的いい環境の中
で制作されていったそうです。
今回のアルバム制作ではヴォーカルのジョーイが、歌入れのためにわざわざ
ロンドンに渡ったり、また、そこでプロデューサーとディスカッションを
とったりと、かなり力を入れていくうちに、ジョーイとプロデューサーの
グレアムとのコミュニケーションは深まる一方、他のメンバーはちょっと
“置いてけぼり状態”で、バンド間の溝は深まってしまいます。
こうして完成したアルバムは、バンドのポップ部門を支えるジョーイの色が
強く出た、バンド史上最もポップなアルバムですが、その反面、
彼らのもう一つの持ち味であるアグレッシブさに欠けると
メンバー自身も言っています。
それでも、ファンの間では好きなアルバムの上位に入る一枚で、
ほどよくビートの利いたナンバーや、ジョーイ節全開のメロウ・チューンなど、
パンクと聴くと毛嫌いする人にも取っつきやすいアルバムです。
僕も一時、イケイケのパンク・ナンバーにちょっとうんざりした時期があって、
このアルバムのビートとメロディの加減が一番心地良くって、
こればっかり聴いていた時期がある、思い入れのある一枚です!
〈オンエア・ソングリスト〉
1. All's Quiet On The Eastern Front
2. We Want The Airwaves
3. She's A Sensation
4. The KKK Took My Baby Away
5. Come On Now