番組では現在、世界初のパンク・バンド、ラモーンズ(Ramones)を
特集しています。
第8回は、83年リリースされた7thアルバム『サブタレイニアン・ジャングル(Subterranean Jungle)』をピック・アップ!!
80年代に入って、ポップなアルバムを作り出した彼らは、
バンド内でポップ推進派と、パンク派に別れ始めていました。
こうしたメンバー間の溝が深まる中作られたのが、この『サブタレイニアン・
ジャングル』です。
正直、この頃の彼らはアルバムを作れるほどバンド状況は良くなくて、
実際用意できた曲も9曲しかなくて、残りはカヴァーで埋められるという
苦しい台所事情だったのです。
そんな険悪なバンド事情に追い打ちをかけたのがドラマーのマーキー。
この頃、彼はひどいアルコール中毒で、ライブをすっぽかしたり、
自動車事故を起こしたりと、バンド活動に支障をきたすようになっていました。
(そんなこともあって、彼のバンド内での立場はジャケ写で一目瞭然!!)
それで、レコーディング途中ながら彼をクビにして、新ドラマー、リッチーを
迎えてピンチを乗り越えました。
と、悪いこと続きだったラモーンズですが、そんな状況だからこそ生まれた
嬉しいエピソードもあるんです。
ポップでヤワになり、メンバーの関係もガタガタになったバンドを、
「再び奮い立たせる曲を」と考えたギターのジョニーが、
当時、何年も口をきいていなかったベースのディーディーに声をかけて完成した
一曲が「サイコ・セラピー」。
この曲が生まれたことによって、実際、バンド内も少し活気づき、
彼らのライブでは欠かせない一曲として、最後まで演奏され続けました。
また、多くのバンドたちにも愛されカヴァーされた一曲でもあります。
こうして苦しい状況の中作られたアルバムは、決して完成度の高いものでは
ないんですが、この時に彼らが出来るベストが詰まっている一枚で、
これが完成したことで、彼らはヒットを生むという色目を捨てて、
“ラモーンズらしさ”を追求することを決心します。
次回は、ラモーンズ第2章の幕開けとなるアルバムをピック・アップします!
〈オンエア・ソングリスト〉
1. Little Bit O' Soul
2. Everytime I Eat Vegetables It Makes Me Think Of You
3. Psycho Therapy
4. My-My Kind Of Girl