1970年代後半、イギリス中を席巻したU.K.パンクムーブメントの雄、
The Clash(クラッシュ)を特集。
3回にわたって特集している全36曲の超大作アルバム
『Sandinista!(サンディニスタ!)』特集最終回です。
これまでファンの期待に応えながら音楽的発展を遂げてきましたが、
このアルバムの後半(CDならDisc2の7曲目以降)から、実験性の強いナンバーが
目立つようになります。
ブリティッシュ・トラッド、ダブ…。もはや、ロックンロールからは遠い地点の
音楽を奏でる彼らは、バンドの音楽的成長を優先にして、ファンを置き去りに
やりたい放題のようにも見えますが、じつはしっかりとファンのことも考えてたのです。
アナログ三枚組というボリュームのこのアルバム、前作につづいて1枚分の値段で販売。
そのため、売れるたびに赤字となりながらも、日々の生活が目一杯で、
レコードなんてそうたびたび買えない層のファンに聴いてもらうためには
「(赤字は)仕方のないこと」と、割り切った値段設定だったのです。
また、コンサート料金も同じようにギリギリの利益での値段設定を行っていたのですが、
ときに十代のファンから「いままでより高いよ」と、会場で直に訴えられ、移動のバスの中
で涙を流すジョーの姿が見られたこともあったそうです。
そんな苦労もあって、アルバムは三枚組ながら全英19位、全米24位とまたも
ヒット・アルバムとなり、彼らの好調具合がうかがえます。
この『サンディニスタ!』というアルバムは、決して万人に愛されるポピュラリティの
高いアルバムではありませんが、チャレンジ精神旺盛なクラッシュというバンドでしか
生み出せなかったロック・アルバムだと思います。
さて、壮大なアルバムを完成させた彼らは、1982年1月に待望の初来日を果たし、
首を長くして待っていた日本のファンに熱く歓迎され、大盛況となります。
そして、同じ年の5月に発売されたのが5枚目のニューアルバム。
はたして、このアルバムの内容と、この頃バンドにどんなことが起こったのか?
次回は5枚目のアルバム特集です♪
〈オンエア・ソングリスト〉
1. Police On My Back
2. The Street Parade
3. Lose This Skin
4. Broadway